実務者研修のスクーリングについて

実務者研修のほとんどは自宅での学習で修了できますが、介護過程Ⅲと医療的ケアを修了するためにはスクーリング(通学)が必要です。

しかし「スクーリングって何日くらい通うの?」「内容や試験は難しくないの?」など、実務者研修のスクーリングが不安という方も多いでしょう。

結論からお伝えすると実務者研修のスクーリングは約7日間で介護過程Ⅲと医療的ケアを学びます。

内容は初任者研修に比べれば高度ですが、理解できるまで学習できるので筆記試験と実技試験の合格率はほぼ100%です。

実務者研修の「スクーリングの内容」「筆記試験や実技試験の内容」「実技試験クリアのためのポイント」などを紹介いたします。

実務者研修のスクーリングの科目と内容

実務者研修の受講科目の大部分は通信講座によって修了可能です。

ただし以下の2つの科目は通学(スクーリング)が必須となっています。

・介護過程Ⅲ

・医療的ケア


ひとつずつ内容を説明していきます。

介護過程Ⅲ

実務者研修では「介護過程Ⅰ」で基礎知識、「介護過程Ⅱ」では実際の場面を想定した展開を学習します。

「介護過程Ⅲ」で学ぶ内容は、介護計画(個別援助計画)の作成、介護計画に基づいたケアの実施がメインです。

サービス提供責任者として働くことも可能な実務者研修では、より高度な介護過程の理解が求められます。

未経験の人はもちろん、すでに介護職員として現場で働いている人にも学びの多いスクーリングになるでしょう。

医療的ケア

医療的ケアは通信講座での学習が50時間、さらにスクーリングによる演習が必須です。

実務者研修で学ぶ医療的ケアの内容は「喀痰吸引」と「経管栄養」の2つです。

どちらも従来は医師や看護師など限られた職種しか行えない医療行為でしたが、2012年の介護保険法改正により、介護職員でも一定の研修を修了した者は医療的ケアの一部を行えるようになりました。

医療的ケアは利用者の生命にも直接関わる重要なケアですので、看護師の指導のもと緊張感をもって学習していただきます。

ただし現場で実際に医療的ケアを行うためには、実務者研修に加え、喀痰吸引等研修の一部を受講する必要があるので、実務者研修を修了したからすぐに職場に戻って実践できる、というわけではありません。

実務者研修のスクーリング日数

介護育成サポートセンターでは「介護過程Ⅲ」が5日間、「医療的ケア」が2日間、合わせて7日間です。

スクーリングの日程は働きながらでも無理なく参加できるよう、スケジュールを配慮しておりますが、どうしても都合がつかない場合は遠慮なくご相談ください。別日の日程を調整させていただきます。

実務者研修の筆記試験・実技試験の内容

実務者研修は「研修」という名が示すように、試験実施が法的に義務付けられているわけではありません。当校では、理解度確認のため、筆記試験と実技試験を行っております。

実務者研修における「筆記試験」「実技試験」の、それぞれの内容について説明していきます。

筆記試験

実務者研修での筆記試験の内容は、基本的に記述式で構成された課題を提出して採点します。

試験といっても、あくまで理解度確認のための試験であり落とすための試験ではないので、ほぼ確実に合格できるので安心してください。

もし万が一合格点に達しなくても再試験がありますので、受かるまで試験を受けることができます。

実技試験

実務者研修での実技試験は、4日目~5日目にかけて行っています。

「介護過程Ⅲ」の修了評価は、1人ずつ別室に呼ばれて実技の試験をする形式です。

試験内容は、スクーリングで作成した個別援助計画に基づいて実際にケアを実践し、適切なケアが行われているかを評価します。

講師に見られてケアを実践するのは受講生の方々の多くが緊張されていますが、スクーリングの内容をしっかり理解していれば、ほぼ全ての方が合格できますので安心してください。

筆記試験同様、受かるまで挑戦できます。

実務者研修の実技試験|3つのポイント

いくら合格率が高いとはいえ無資格未経験だったり、人前が苦手だったりすると、実務者研修の実技試験が不安になってしまう方も多いでしょう。

そこで実務者研修の実技試験で注意すべき3つのポイントを紹介いたします。

・危険・不衛生なケアは厳禁

・共感力のある声掛け

・介護技術の基本はしっかり


これらの3つのポイントを意識できれば、実技試験の合格に一歩近づけるはずです。

危険・不衛生なケアは厳禁

介護のケアにおいて、危険な行為と不衛生な行為は厳禁です。

例えば車椅子のブレーキをかけずに放置する、杖歩行の利用者の前を歩いて進路を妨害するといった、転倒のリスクにつながる行為をすると危険行為とみなされ試験では不合格になります。

また膝をついたり、布団の上に足を乗せたりといった、不衛生な行為もまた不合格になる要因です。

いずれも常識的なケアをしていれば問題ありませんが、実技試験の緊張により普段はやらないことでも、意図せずやってしまうことがあります。

落ち着いて普段どおりのケアを心がけましょう。

共感力のある声掛け

実務者研修では、介助の内容を説明し同意を得られるように声掛けができているかが評価されます。

例えば歩行困難でずっと出かけられなかった利用者が、車椅子の使用によりやっと出かけられるようになったという事例があったとします。

外出の際に「◯◯さん、食事の準備が整いましたから食堂へ向かいましょう。車椅子での移動でもよろしいですか」とケアの説明をするだけでは十分とはいえません。

ケアの説明に加えて「外出できるようになって良かったですね!」と、利用者の思いやニーズに応えられる高度な声掛けを心がけましょう。

介護技術の基本はしっかり

実務者研修の実技試験では、介護技術の基本が理解できているのかも評価されます。

階段昇降や杖歩行、麻痺のある利用者の更衣など、初任者研修で学んだ介護技術の基本を復習しておきましょう。

個別援助計画を作成する際に、介護技術で注意すべき点は何かを洗い出しておくことも、実務者研修の実技試験に合格するコツです。